奇跡の復活!
日本最北端、旭山動物園の挑戦
旭山動物園と聞いて今ではその復活劇がTVドラマ化になり、有名になりましたが、つい数年前までは多分動物園に詳しい方以外の方は、ほとんど知られていない動物園だったのではないでしょうか。それもそのはず、人口36万人の北海道旭川市に位置する市営の普通の動物園なのです。
では今何故、日本の最北端に有る動物園が注目を浴びたのか?そこには、動物を本気で愛する飼育係の挑戦が、旭川市民はおろか北海道、そして全国の人々に動物園の楽しみ方を気付かせたからです。
従来の動物園では、動物の姿形を見せる「形態展示」が主流で、目玉となる珍しい動物を飼うことで集客力を高め、まるで標本のような動物の見せ方をしていました。そのため動物を眺める時間はなんと平均2,6秒、動物の様々な仕草や表情をじっくりと観察し動物のすごさを体験することが出来ませんでした。
以前の旭山動物園もそうでした。
旭山動物園の歴史入園者数
1967年:日本最北の動物園として開園(458,208名)
1971年:中学生以下入場無料に
1983年:開園以来の入園者数がピークに
入園者数が減り、集客施設としてジェットコースターを設置(597,133名)
1986年:集客施設として観覧車を設置
市はレジャー施設化を推進
⇔飼育係(10名)が理想の動物園構想
1995年:エキノコックが発生、一時閉園
1996年:風評により、無料来園者数が過去最低(260,822名)
1997年:子供牧場「ととりの村」(306,255名)
1998年:せせらぎ、猛獣間(352,287名)
1999年:サル山(421,884名)
2000年:ペンギン館(539,888名)
2001年:オランウータン舎(575,884名)
2002年:ほっきょくぐま館(670,431名)
2004年:アザラシ館、オランウータン館(1,449,474名)
2005年:くもざる・かぴぱら館(2,067,684名)
理想の動物園構想
10名の飼育係(現在、飼育展示係)が動物園の社会的役割を、真剣に考え動物園の本質を考えぬいて、ある理想像を掲げたのです。
プロの飼育係とは・・・
●動物の事は何でも知っている(専門知識)
●難しい動物を健康に成長させる(技術/経験)
●繁殖の難しい動物に子を産ませて育てさせる担当者による(人間性)・安心、安全な環境
その後、入園者に聞き取り調査を行い動物園に対する価値や、行動を分析し、動物園の形を変えていったのです。
<調査のまとめ>
動かない
●くまは寝てるだけ⇒立ち止まって見る平均時間が2,6秒
見てるだけ
●抱っこしたい
●餌をやってみたい
●お世話したい
いつも同じ
●毎年来てるけどいつも同じ⇒同時期にしか来ていない
●珍しい動物を見たい⇒一度見たら珍しくなくなる
子供じゃない
●知らない動物なんて無い⇒飼育側のあたり前が知らない
この調査から動物の素晴らしさを知って頂くための様々なアイディアが、飼育係の間で出され、現場に徐々に生かされ始めました。特に動物の様々な生態を手書きで書いた解説を設置する事により、飼育係りレベルの知識が来場者に植え付けられ、今までになかった視点で動物を観察するようになり、動物園の新しい楽しみ方が出来るようになっていくのです。
更に、今まで常識であった動物園の「形態展示」から、もっと動物のすごさを来園者に知ってもらうために、出来る限り動物にストレスがかからず、自然体で生活できる環境を与える「行動展示」を開発したのです。
飼育係の動物を知り尽くした知識と、高いプロ意識が常識を超え全く新しい動物園の基礎がこの時誕生したのです。
その後、来場者数も年々増え、10人で描いた理想の動物園へ一歩一歩近づき、昨年の夏季の入園者数は上野動物園を抜いて日本一になったのです。正に、理想的な増客です。
その集客力は独自性と本来あるべき動物園の姿を見出した飼育係の絶え間無い挑戦の結果なのでしょう。
いかに集客するかを考える事よりも、いかに動物の素晴らしさを知ってもらえるかを追求した動物を愛する心と、情熱があったからなのではないでしょうか。
現在は、更にその考え方が進化しました。
新しい価値観を生み出した考え方
★研究心を忘れない
動物の身になって点検する
お客様の身になって点検する
★何をしたいのか発言する
発想 ⇒ 発表 ⇒ 試行 ⇒ 検証 ⇒ 実行 ⇒ 評価
★職員も展示動物
この旭山動物園の奇跡の復活を理美容室に置き換えると、集客力の落ちた場合、新メニュー(珍しいもの)を投入して集客するのではなく、先ずは自分達の職種のあり方をもう一度見直し、お客様が理美容室に何を求めているのかを独自で導き出し、それに必要な事を試行錯誤しながら検証していくこと。
お客様に、プロとしてあたりまえの知識を出来る限り分り易く、毎回伝えること。それに必要な自分達の知識を増やす事。
技術が顧客の求めるスタイルに対して充分なのか、毎年進化しているのかを点検し、磨き上げ続けること。
お客様が来店して、充分楽しんで頂ける環境を作ること。
そして、プロとしての高い意識を持ち続ける事ではないでしょうか?
そのベースがあってこそ、新メニューの投入が生きてくるのです。厳しい時代ですが、一度は閉鎖し、決していいとはいえない立地で日本一の来園者数を記録した10名の飼育係の情熱と、創意工夫が同じように出来れば、誰でもできることなのではないでしょうか?それには周りを意識するのではなく、自分達の現状をしっかりと見つめなおし、お客様にとって必要なサロン作りをコツコツとやり続けることなのではないでしょうか。それは、旭山動物園も構想から10年間の道のりがかかったからです。質が高いもの程結果はすぐには出ないものです。来年、再来年ではなく、5年後、10年後を見据えて今を考えてみてはいかがでしょうか。
日本最北端、旭山動物園の挑戦
旭山動物園と聞いて今ではその復活劇がTVドラマ化になり、有名になりましたが、つい数年前までは多分動物園に詳しい方以外の方は、ほとんど知られていない動物園だったのではないでしょうか。それもそのはず、人口36万人の北海道旭川市に位置する市営の普通の動物園なのです。
では今何故、日本の最北端に有る動物園が注目を浴びたのか?そこには、動物を本気で愛する飼育係の挑戦が、旭川市民はおろか北海道、そして全国の人々に動物園の楽しみ方を気付かせたからです。
従来の動物園では、動物の姿形を見せる「形態展示」が主流で、目玉となる珍しい動物を飼うことで集客力を高め、まるで標本のような動物の見せ方をしていました。そのため動物を眺める時間はなんと平均2,6秒、動物の様々な仕草や表情をじっくりと観察し動物のすごさを体験することが出来ませんでした。
以前の旭山動物園もそうでした。
旭山動物園の歴史入園者数
1967年:日本最北の動物園として開園(458,208名)
1971年:中学生以下入場無料に
1983年:開園以来の入園者数がピークに
入園者数が減り、集客施設としてジェットコースターを設置(597,133名)
1986年:集客施設として観覧車を設置
市はレジャー施設化を推進
⇔飼育係(10名)が理想の動物園構想
1995年:エキノコックが発生、一時閉園
1996年:風評により、無料来園者数が過去最低(260,822名)
1997年:子供牧場「ととりの村」(306,255名)
1998年:せせらぎ、猛獣間(352,287名)
1999年:サル山(421,884名)
2000年:ペンギン館(539,888名)
2001年:オランウータン舎(575,884名)
2002年:ほっきょくぐま館(670,431名)
2004年:アザラシ館、オランウータン館(1,449,474名)
2005年:くもざる・かぴぱら館(2,067,684名)
理想の動物園構想
10名の飼育係(現在、飼育展示係)が動物園の社会的役割を、真剣に考え動物園の本質を考えぬいて、ある理想像を掲げたのです。
プロの飼育係とは・・・
●動物の事は何でも知っている(専門知識)
●難しい動物を健康に成長させる(技術/経験)
●繁殖の難しい動物に子を産ませて育てさせる担当者による(人間性)・安心、安全な環境
その後、入園者に聞き取り調査を行い動物園に対する価値や、行動を分析し、動物園の形を変えていったのです。
<調査のまとめ>
動かない
●くまは寝てるだけ⇒立ち止まって見る平均時間が2,6秒
見てるだけ
●抱っこしたい
●餌をやってみたい
●お世話したい
いつも同じ
●毎年来てるけどいつも同じ⇒同時期にしか来ていない
●珍しい動物を見たい⇒一度見たら珍しくなくなる
子供じゃない
●知らない動物なんて無い⇒飼育側のあたり前が知らない
この調査から動物の素晴らしさを知って頂くための様々なアイディアが、飼育係の間で出され、現場に徐々に生かされ始めました。特に動物の様々な生態を手書きで書いた解説を設置する事により、飼育係りレベルの知識が来場者に植え付けられ、今までになかった視点で動物を観察するようになり、動物園の新しい楽しみ方が出来るようになっていくのです。
更に、今まで常識であった動物園の「形態展示」から、もっと動物のすごさを来園者に知ってもらうために、出来る限り動物にストレスがかからず、自然体で生活できる環境を与える「行動展示」を開発したのです。
飼育係の動物を知り尽くした知識と、高いプロ意識が常識を超え全く新しい動物園の基礎がこの時誕生したのです。
その後、来場者数も年々増え、10人で描いた理想の動物園へ一歩一歩近づき、昨年の夏季の入園者数は上野動物園を抜いて日本一になったのです。正に、理想的な増客です。
その集客力は独自性と本来あるべき動物園の姿を見出した飼育係の絶え間無い挑戦の結果なのでしょう。
いかに集客するかを考える事よりも、いかに動物の素晴らしさを知ってもらえるかを追求した動物を愛する心と、情熱があったからなのではないでしょうか。
現在は、更にその考え方が進化しました。
新しい価値観を生み出した考え方
★研究心を忘れない
動物の身になって点検する
お客様の身になって点検する
★何をしたいのか発言する
発想 ⇒ 発表 ⇒ 試行 ⇒ 検証 ⇒ 実行 ⇒ 評価
★職員も展示動物
この旭山動物園の奇跡の復活を理美容室に置き換えると、集客力の落ちた場合、新メニュー(珍しいもの)を投入して集客するのではなく、先ずは自分達の職種のあり方をもう一度見直し、お客様が理美容室に何を求めているのかを独自で導き出し、それに必要な事を試行錯誤しながら検証していくこと。
お客様に、プロとしてあたりまえの知識を出来る限り分り易く、毎回伝えること。それに必要な自分達の知識を増やす事。
技術が顧客の求めるスタイルに対して充分なのか、毎年進化しているのかを点検し、磨き上げ続けること。
お客様が来店して、充分楽しんで頂ける環境を作ること。
そして、プロとしての高い意識を持ち続ける事ではないでしょうか?
そのベースがあってこそ、新メニューの投入が生きてくるのです。厳しい時代ですが、一度は閉鎖し、決していいとはいえない立地で日本一の来園者数を記録した10名の飼育係の情熱と、創意工夫が同じように出来れば、誰でもできることなのではないでしょうか?それには周りを意識するのではなく、自分達の現状をしっかりと見つめなおし、お客様にとって必要なサロン作りをコツコツとやり続けることなのではないでしょうか。それは、旭山動物園も構想から10年間の道のりがかかったからです。質が高いもの程結果はすぐには出ないものです。来年、再来年ではなく、5年後、10年後を見据えて今を考えてみてはいかがでしょうか。
# by izasekikawa | 2006-08-03 15:56